『あと三週間、大雨もキツネの接近もありませんように…!』
毎日、ウバを乗せて走る幹線道路の下、馴染みの川のほとりでタンチョウが営巣してるのに気づきました。この川は完全な自然河川、人の手が入ってないので湿地がたくさんあり、ヤチハンノキがてきとうに生えてます。
「ねっ、お父さん、タンチョウが座ってる、卵を抱いてるんじゃない…」
助手席から道路の横を見ていたウバがそう言って10日になります。今日、少し離れた所にタントくんを停め、カメラを手にそっと道を戻ってみました。居ました、ウバの言うとおりの場所で抱卵してました。巣はヨシなどで丸く高く築かれ、直径は1.5mほどあります。周囲には明らかに水溜まりがあり、まるで巣を守るようにお堀になってます。
卵が孵化するまで、タンチョウでは1ヶ月ほどかかります。それまで強い絆で結ばれたカップルが交替で24時間抱き続けます。
「賑やかな車の音や姿を気にせず、釣り人に気づかぬふりをしてもらい、キツネやイタチ、ミンクとは、鋭く強いクチバシで闘い、どうか無事にヒナが孵るように…!」
そう告げてシャッター5回で巣の見える場所を去りました。