『思い出写真/あきる野/頼られる犬』
玉川上水沿いの林に集団で捨てられていた烏骨鶏を、保護されてた方から引き取ったことがあった。まだ若い鶏だったのでカップルができ卵を抱き始めた。その様子を気にしてたのが柴犬のミゾレだった。
広い柵の中の犬小屋で雌が抱いていた卵が孵り、雛の声が聞こえるようになると、ネコたちが興味を示して柵を越えて近づくようになった。それを見たミゾレがネコにむかっエ吠えていた。
これは…と思い、私はミゾレを柵に入れてみた。彼女は当然のように母子鶏のいる小屋の前に腰をおろし、ネコや元気な雄鳥たちを近づけないように仕事を始めた。
孵った雛の1羽は片足が不自由だった。それは仲間からいじめられることにつながった。悲鳴を聞くとミゾレが駆け付け間に入っておさめていた。
そのうちにハンデ鶏はミゾレから離れなくなった。眠る時はミゾレの胸の下でくるまれるようにして目を閉じていた。
長生きはできなかったが、ミゾレが守った烏骨鶏、確実な時を過ごすことができたはずと、私はあきる野の思い出ノートに記している。