中標津こどもクリニックブログ

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旭山動物園

道内にお住まいの方なら既に行った事のある方も多いと思われるベタな話題ですが、先週末に札幌で用事があった帰りに旭山動物園に行ってきました。
有名な「行動展示」は以前から聞いていましたし、以前小児科関係のフォーラムで園長さんの公園も聞いたことがありましたが、なぜか訪れるチャンスに恵まれず北海道移住後14年にして初の旭山動物園です。
個人的には動物達が元気に暴れまわる夏期の動物園を見たかったのですが、今回は女子に人気の「ペンギンのお散歩」が見られる冬期の開園期間に行ってきました。

開門と同時に入場して、まずは噂のペンギンのお散歩姿を拝見しましたが、「やらされ感」の無いペンギンたちの凛々しい姿には「カワイイ」というよりも野性の「たくましさ」を感じました。
その後多くの動物たちのお住まいにお邪魔してきましたが、噂にたがわず彼らが野性で生活している姿に少しでも近づけるべく努力している様がひしひしと伝わってきました。
世の中にはzoology、動物学という言葉がありますが、目の前にいる彼らを見つめる私たちの目は「博物学」ではなく「動物学」の端っこにあるのかなという気がしました。
園内の説明も機械的なものでなく、手書きの説明文にあふれていて「彼らのことを知って下さい。」というスタッフの思いがとてもよく伝わりました。
中でも、フクロウやワシなどの猛禽類に餌として商業的な価値が無くゴミとして処分されてしまうオスのヒヨコを与えているという説明、残酷とか気持ち悪いとか思われるかもしれないことを、「私たちヒトを含めて全ての生き物はほかの生き物の命を頂いて生きている」という当たり前の事実を、子ども達にも解るように説明してあるのを見て、改めて今日動物園で眼にしたものは、博物学的な動物の「形態」ではなく、食物連鎖の中でたくましく生活をしている「生態」であり、さらに突き詰めれば尊厳すべき「命そのもの」であるという事に気づかされました。
近頃は家で亡くなる方の数も減り、都会ではペットも飼いにくくなり、子ども達が身近な「死」を体験、実感する機会が激減しているように思います。
それゆえ対極にある命の実感の無い子どもは他人の命を、そして自分の命をも大切にすることができません。「命」というものを実感できる体験を動物園でもいいですから角逐して欲しいと思います。
そして多くの野生動物たちにとって彼等の一番の天敵がヒトであるということ、直接的に狩猟の対象にならなくとも、地球温暖化でホッキョクグマが住みかを奪われ、森林開発でオランウータンが住みかを奪われ、多くの生物がヒトによって絶滅の危機に瀕しているという事実も今さらながらに再確認されました。
誰も彼らを絶滅に追いやろうとする意図など微塵もないのですが、気がつけば「悪気は無いのに」取り返しのつかない事をしているわけです。
そう思うと、動物たちのはしくれであるヒト自身も近年貧富の差が拡大し「悪気は無いのに」弱い者を死の淵に追いやるような冷徹な経済活動を繰り返している事にも改めて気づかされます。
ちっちゃな動物園の中でいろいろなことを学んで帰れたような気がします。


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