中標津こどもクリニックブログ

地方鉄道の悲哀

先日甲信越に出かけることがあり、その行程の途中で
松本駅から長野駅まで篠ノ井線(しののいせん)というローカル線の普通列車で移動しました。
篠ノ井線は中央本線と北陸新幹線開通前のかつての信越本線を結ぶ短絡路のような働きをしており、
新宿から来る特急「あずさ」は、中央本線を塩尻駅で外れてから松本駅まで篠ノ井線をわずか10kmちょっと走って松本で終着となりますが、
名古屋から来る「しなの」は塩尻から75kmほど篠ノ井線を走って終点の長野駅まで走ります。
線路は単線ですが、ローカル線とはいえ特急列車が一日15往復近く走っている主要な路線です。
走っている電車もちょっと前まで東海道線を走っていた211系電車で、ぜんぜん田舎っぽくないです。

ということで、特別な違和感も無く電車に乗り込んでビールと駅弁でつかの間の幸せを感じていたのですが、
車内の様子が、なんかおかしい
仕事帰り、学校帰りとおぼしき人たちで座れない人もいる運行でしたが、なぜか寒々とした感じがします。
よくよく車内を見渡すと、中吊り広告が無いのです。
厳密には1枚だけあるのですが、それはJR東日本からのお知らせで広告料を取ってのものではありません。
窓上の広告を張り込むスペースにも広告は1枚もありません。
唯一見かけたのは、ドアの戸袋の窓に張ってあるステッカー状の広告です。
日頃乗っていた、うるさいぐらいに広告で満たされた電車とはえらい違いです。

JR北海道の苦戦ぶりは皆さんご存知だと思いますが、ローカル線とはいえ主要な路線の電車に中吊り広告がまるで無いということは、他のJR各社も稼ぎ手の新幹線、特急、都市部の通勤電車以外では、やはり苦戦を強いられているのかと思うに至りました。
鉄道会社、みんな頑張ってほしいです。
ガンバレ!


新宿ゴールデン街

土曜、日曜と研修会だったのですが、
会場が都庁の近くだったので、新宿駅をはさんで反対側にある全国各地での学会などの時に利用している「常宿」東横インを利用しました。
19時頃に研修会第一日が終わって、会場から700メートルくらい歩いて新宿駅そばの『思い出横丁』で焼き鳥とビールで晩ごはんをしてから、また600メートルくらい歩いて『東横イン新宿歌舞伎町』にチェックイン。
荷物を置いて繰り出せばわずか400メートルほどで新宿ゴールデン街です。

ゴールデン街は以前にも解説しましたが、戦後の闇市、青線地帯の流れをくむ猥雑な飲食店街です。
どの店も保障付きでボロっちいけど味があります。
最近は週末ともなれば外国人観光客に占領されそうになっていますが、個性的な店がたくさんあり何度行っても飽きが来ません。
今回は、最近勢いあまって町議になってしまった近所のフォークソングおやじが、東京に行った時に安心して楽しめそうなお店を探すことを目的にして訪れました。
事前調査はしていなかったので、判断基準は店の名前と外から見える店の雰囲気しかありません。
そんなこんなで界隈を一通り歩いて目星を付けたのが、
『名盤酒場 青春』

「これだ!」
と、確信しました。
店の名前は申し分なしです。
愛するフォークソングおやじが、青春時代のレコードを聴いて目を細める姿が目に浮かびます。
しかし、お店は階段を上った二階にあり中の様子は伺い知れません。
それ以外の情報としては「チャージ2000円」の貼り紙です。
2000円です。
ちょっと高いです。
チャージなしのお店もたくさんあります。
なんで高いんだろう。
何を考えて高いんだろう。
なにがしかの営業戦略上であろうか?
いろいろ考えます。

チャージが高ければ一見さんは確実に敬遠します。
それでいいのでしょうか?
既に固定客がたくさんいて、新しい客はいらないのでしょうか?
「税金が高いハワイ州には、貧乏人は住まない。」
という理屈で、いい客層だけ来て欲しいのでしょうか?
金の無い若いモンは嫌いなのでしょうか?
“no charge tax free”
の誘い文句でやって来る外国人が苦手なのでしょうか?
「チャージ2000円」
の一文で、シワがなくなってきた脳ミソはグルグル大回転です。

結局決め手となる結論には至らず。
視点を変えて「私が入ってもいい店か?」という観点で考えてみました。
最近のゴールデン街は健全な店が多く、いわゆる「ボラれる」お店はほとんどなくなってきたそうです。
そこで、目の前のこのお店が「悪いお店かどうか」と考えることにしました。
ボラれちゃうのは、お客さんの方にも問題がある場合があります。
それは「安いじゃん」とか「鼻の下グングン伸びそうじゃん」といった類であると考えられます。
「名盤酒場 青春」で下心は生じず。
「チャージ2000円」で安いとは思わず。
お客がカモにされる要素はなく、
「なぜ2000円なのかはよくわからないが、入ってもひどい目にはあわされないであろう」
という結論に到達し、入店するに至りました。

入ってみたら、昭和の匂いがプンプンする店内に、店主曰く
いしだあゆみのブルー・ライト・ヨコハマ、平山みきの真夏の出来事を起点として、CDに淘汰されてレコードが無くなるまでのJ−POP
というドーナツ盤が4000枚無造作に積まれています。
なぜ、その2曲が起点なのかはよくわかりませんが、そういう説明でした。
念のために
「J−POPって、いわゆる歌謡曲ですか?」
と尋ねると
「そのとおり」
とのこと。
歌謡曲番組全盛時代にテレビっ子だった私は、いろいろとリクエストをしたのですが、
まるで理解できないシステムで、無造作に積まれた4000枚のレコードの中からスルスルと目的のレコードが出てきます。
最近のコンピュータ開発は、人間の脳の働きを真似して効率的なシステムを構築するそうですが、人類最強の検索システムの開発をしている方に是非教えて差し上げたい名人芸です。
ついつい面白がって何曲もリクエストをしてしまいました。
店主もまた「それが好きならこれはどうだ!」「こんな隠れた名曲があるぞ!」みたいなノリで次々と珠玉の名曲をかけて下さいます。
そもそもの目的であったフォークソングにも造詣が深く、百点満点の夜となりました。

新宿にお寄りの際は、是非お立ち寄り下さい。
チャージ2000円の理由は、現地でお聞き下さい。



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