1971年、無人島(北海道の東部、浜中町のケンボッキ島)で、ヒグマのドンベエや馬のポンコ、秋田犬のグルなどと生活をしていた、作家 畑 正憲 氏…ムツゴロウさんのもとへ、新潟の小千谷から、ひとりの女性がやってきた。
 それが仲ヒロ子だった。
 翌1972年、冬。東京から男が加わった。石川利昭、22歳だった。無人島から対岸に居を移し、「ムツゴロウ動物王国」が開国をした年だった。男の出身地は北海道の北部。夏プラス35度、冬マイナス35度の気温年較差の大きな名寄だった。
 ふたりは、犬、ネコ、馬、牛、そしてキツネやエゾシカ、アザラシなどとの王国生活を送っていた。そして1976年、動物王国内結婚第一号として新たな出発をした。新婚旅行は車で5分のホテル、ふたりは面倒になり、1泊で残りをキャンセルして動物たちの所に戻ってしまった。
 王国に腰をすえて30年。1女1男の子供たち、そして、数えきれない生きものたち、加えて全国から集まった人間の仲間たちと、北の大地でゆかいな生活を続けてきている。
 もちろん、国王のムツさんに学ぶことが多大であった。その不思議がる心、面白がる心こそが、石川家の原動力であった。それは、これからも果てなく続いていく家訓のようなものと言えるのかも知れない。




石川百友坊「いしかわさんの命がいっぱい」

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