2004年3月
 冷え込んだ日の午後、野付半島でハマナスの枯れ枝から大きく成長した霧氷を見つけた。
過冷却の微小水滴が凍り付いた、いわゆる樹氷と異なり、顕微鏡で見る雪の結晶に良く似ている。
右側にある大きな物で約1cm、肉眼ではっきりと形がわかる大きさである。
 寒く風のない朝、川の近くの木にキラキラ輝く小さな霧氷はよく見かける。
しかしこんな時間に海の近くで、しかもこんなに大きい物を見るのは初めてである。
 成長の仕方は雪と全く同じで、空気中の水蒸気が直接凝固しながら独特の形を組み立てていく。この日は地表でも長時間、雪雲の中と同じ条件が続いたという事だろうか。

 しかし翌日からは風向きが変わり気温も上がり始めた。
粉雪はザラメに、アイスバーンはぬかるみに姿を変え、北の大地でも 春の足音が確実にその歩調を速めている。
ふきのとうが顔を出すのもまもなくである。
〈津田 典秀〉







ムツゴロウ動物王国「いしかわさんの命がいっぱい」

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