2002年4月



 ここ中標津の冬は乾季でもあり、毎日晴天が続くのが当たり前である。しかし今年は何かが違っていた。何度も雨が降り、その後の寒さで道路がスケートリンクと化したかと思えば、今度は猛吹雪が続きすべてを真っ白に埋め尽くしてしまった。「どこかが狂い始めている…」言葉にこそ出さないが皆が不安を感じ始めている事だろう。
 そんなある日、やはり冬には珍しい霧が出た。霧は寒気によって凍り付き、木々に真っ白なドレスとなってまとわりついた。空と雪原の境が霧に隠された様は、さながら宙に浮かぶ木々の島のような光景であった。異常気象もたまには良いものだと、不謹慎な思いを抱きつつ私はシャッターを押した。
〈津田 典秀〉







ムツゴロウ動物王国「いしかわさんの命がいっぱい」

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