2003年12月
 屈斜路湖の湖畔には、何ケ所か温泉が湧き出ている所がある。その中でも砂湯は、もっとも有名で、真冬でも凍結せずに開いた水面が広がり、近年、たくさんの白鳥の越冬地として賑わっている。

 10月半ば、今年もシベリアからこの地点を目指して飛んで来た連中が、のんびりと湯につかっていた。その中には、初めての長旅を終えた、今年の初夏生まれの若鳥が混ざっている。
 家族の絆が強い白鳥である。仲良く並んで泳ぐこの親子も、編隊を組んで飛行中は、両親が気づかい、見守っていたことだろう。
 来春、針路を北にとって旅立つまで、ゆっくりと湯治の日々を送り、若鳥は、真っ白な姿で帰って行く。
〈津田 典秀〉







ムツゴロウ動物王国「いしかわさんの命がいっぱい」

本サイトに掲載されている画像・文章等、全ての内容の無断転載・引用を禁止します。