2003年4月
 湖の氷がゆるみ始めた3月のある夕方、白鳥は北の故郷に思いをはせているかのように大きく翼を広げていた。夕日を受け、金色に輝いたその姿は美しく、そして力強かった。
 まもなくやって来る春が待ちきれないのか、何度も何度も翼を広げる白い鳥は、北への旅立ちの準備が整った事をアピールしているように見えた。
 私は、湖面が金色から紫がかったオレンジ色に変わり、山を越えて西の風が流れてくるまで、 その姿をファインダーから見つめ続けていた。
〈津田 典秀〉






ムツゴロウ動物王国「いしかわさんの命がいっぱい」

本サイトに掲載されている画像・文章等、全ての内容の無断転載・引用を禁止します。