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“未曽有の時代〞の選択肢

by JAけねべつ

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参  事 佐 藤 良 文

 皆様方におかれましてはそれぞれの思いのなかにも健やかな新年を迎えられたことと拝察し、謹んで新年のお慶びを申し上げます。
 近年、グローバル社会、経済が進行する中で天変地異も含めて震撼させられる未曾有の事象があまりにも多く、今後どの様に対応すべきなのか(あって欲しいのか)この機会に私なりに整理をしてみました。
 未曽有の…その1.
 昨年3月11日に発生した東日本大震災は多くの方々が犠牲となり、更に被害状況も甚大でありその復旧・復興には多くの費用と時間を要することとなりました。更に人災ともいえる原発事故の誘発は、エネルギー政策の根幹をも揺るがしております。そのような中で、地震多発地帯の根室にあって、その“備え〞をどうするのかという課題ですが、酪農家にとっては、牛をダメにしないという観点から、“電気〞と“水〞の寸断に備えなければならない。集荷は出来なくとも給水と搾乳だけでも対応しなければ牛がダメになる、生産態勢の堅持は不可欠。発電機と地下水等事前準備体制の構築について地域を挙げて検討する必要があると思います。
 未曽有の…その2.
 近年続発している高病原性鳥インフルエンザについても然りでありますが、とりわけ酪農地帯にあっては一昨年発生した口蹄疫禍も教訓としなければならない。人、モノの流通がよりグローバル化した中にあって海外での伝染病発生は、今や対岸の火事ではありません。隣国韓国では未だ清浄化されていないこともあり、昨年改正された「家畜伝染予防法」への対応として、少なくとも“水際対策〞の「飼養衛生管理基準」については面倒でも関係者挙げての意識付けと励行が必要だと思います。
 未曽有の…その3.
 そもそもTPPに関して“農業〞対“TPP〞或いは“農業(1次産業)〞対“工業(2次産業)〞といった対立軸がクローズアップされていましたが、本来は“国民の生活〞対“TPP〞若しくは“国民の安全・安心〞対“TPP〞であり、そのことが考えるべき『国益』であります。本当に恐ろしいのは農畜産物等を始めとする関税障壁以上に、未だ情報が不透明な非関税障壁(関税以外の方法によって貿易を制限すること)の撤廃であります。医療や農薬の安全基準値の緩和による命の安全に対する脅威、労働市場の自由化等により安い農産物が入ってきても労働市場が荒らされ失業率が増えては何の意味もありません。関税障壁、非関税障壁の撤廃は国境の撤廃に等しいこと。言わばアメリカ国日本県北海道市中標津町…といったことが受け入れられますか!この選択肢は“ノー〞しかありません。予てよりの持論ですが、輸出国は輸入国の食料の安定・安全供給を保障しているものではない=単に自国の余剰を輸出しているに過ぎず、輸出国にとって食料は自国の農業・国民の生活を守る重要な「戦略物資」であり、よって国民に「食の安全・安心」を保障しなければならないのは自国であります。TPP参加是非は、日本の歴史的未曽有の窮地に陥る分岐点であり、その判断に誤りがないよう反対運動を継続しなければなりませんし、同時に我々生産者も国民の「命の安全」に対する責任と義務を再認識することも今次の背景かと思います。
 本年は第9次中期地域農業振興計画(平成24年〜平成26年度)の策定年であります。上述したような先行き不透明な部分は多くありますが、少しでも地域活性化が図れる構想樹立に向け他面に亘って共に考えたいと思いますので宜しくお願い申し上げます。
 結びにあたりまして、今年こそは天候をはじめ取り巻く環境が穏やかな1年であって欲しいと願いますとともに、組合員の皆様がご健勝で過ごされ1つでも喜びの多い年になることをご祈念申し上げ年頭の挨拶とさせて頂きます。

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